カテゴリ:安佐南区エリア別・深掘り分析 / 投稿日付:2026/07/31 10:49
こんにちは。センチュリー21リベルテの山口です。
安佐南区の古い住宅街(長束、西原、古市など)や丘陵地の団地(高取、毘沙門台など)の物件査定に伺うと、高確率で発見される問題があります。
- ・隣の家の庭木(枝や根)が、こちらの敷地に大きくはみ出している
- ・境界にある古いブロック塀が、地震でもないのにこちら側に傾いている
- ・逆に、自分の家の屋根(軒先)や雨樋が、隣の敷地の上空に出ている
これらを不動産用語で「越境(えっきょう)」と呼びます。
売主様に「これ、越境していますね」とお伝えすると、多くの方が「ああ、昔からずっとこうだから。お互い様だし、近所の暗黙の了解みたいなものだよ」と笑って答えられます。
しかし、不動産のプロとして厳しい現実をお伝えします。
売却において、その「暗黙の了解」は一切通用しません。越境を放置したままでは、家は適正価格で売れないのです。
1. なぜ「暗黙の了解」では家が売れないのか?
あなたが長年住んでいて気にならなくても、新しく家を買う「買主様」の立場になって考えてみてください。
「高いお金を出して買った自分の土地の上に、隣の木の枝が覆い被さって落ち葉を落としてくる」
「傾いたブロック塀が、もし大きな地震で倒れてきて自分の子供が怪我をしたら誰が責任をとるのか」
買主様にとって、越境は「将来の近隣トラブルの種」そのものです。
さらに重要なのが「銀行の目」です。銀行はトラブルを抱えた不動産を担保にすることを嫌うため、越境が未解決の物件には住宅ローンの融資を下ろさないケースが多々あります。
つまり、越境を放置すると「買える人がいなくなる=売れ残る」という最悪の結末を招くのです。
2. 令和5年の法改正でも「勝手に切る」はトラブルの元
「じゃあ、売る前に隣の枝を勝手に切ってしまおう」
実は令和5年4月の民法改正により、一定の条件(隣人に何度言っても切ってくれない等)を満たせば、越境してきた枝を自分で切り取ることが法的に可能になりました。
しかし、だからといって無断でチェーンソーを持ち出して枝を切り落とすのは絶対にやってはいけません。
そんなことをすればお隣さんは激怒し、前回の記事でも触れた「境界確定の立ち会い(ハンコ)」に絶対に応じてくれなくなります。
法律で認められているからといって、感情を逆撫ですれば売却活動そのものが完全にストップしてしまいます。
3. 魔法の書類「越境の覚書(おぼえがき)」を取得せよ
では、今すぐブロック塀を壊して作り直したり、木を根元から伐採しなければならないのでしょうか?
数百万の費用がかかる工事を売却前にポンと出せる方は少ないはずです。
そこで、私たち不動産のプロが実務で使うのが「越境に関する覚書(おぼえがき)」という絶対的な書類です。
これはお隣さん同士で交わす書面で、以下の内容を約束します。
- ・「現在、この部分が越境している事実をお互いに確認しました」
- ・「今回は現状のままとしますが、将来、家を建て替えたりブロック塀を造り直す際には、自分の敷地内に収まるように責任を持って是正します」
- ・「この約束は、土地の所有者が変わっても(買主様にも)引き継がれます」
この紙(覚書)が1枚あるだけで、買主様は「将来ちゃんと直してもらえるんだ」と安心し、銀行も「当事者間で合意が取れているならOK」と融資の許可を出してくれます。
何百万円もかけて今すぐ工事をしなくても、覚書さえあれば「安全な不動産」として高値で売却できるようになるのです。
4. まとめ:面倒なご近所交渉は、プロを「悪者」にして進める
ただし、この覚書に「ハンコを押してください」とお隣さんにお願いに行くのは、非常に気まずく、精神的なハードルが高い作業です。
だからこそ、この泥臭い仕事はリベルテ(山口)に丸投げしてください。
私が背広を着てお隣を訪問し、
「お隣の〇〇さんは『このままでいい』と仰っているのですが、私ども不動産業者のコンプライアンス上、どうしてもこの書類を作らなければならない決まりになっておりまして…」
と、「私たち不動産会社を悪者(ルールに厳しい面倒な第三者)」に仕立て上げて交渉します。
これにより、売主様とお隣さんの関係を壊すことなく、安全に覚書を取得することができます。
「うちの庭木、ちょっとはみ出してるかも…」
と不安に思われたら、ご自身で動く前に、まずは私に現場を見せてください。最適な解決策をご提案します。

